ダイエットという言葉を聞いて、真っ先に思い浮かぶのは食事制限や運動ではないでしょうか。
どちらも今すぐ始められる事ですし、ダイエットを成功させるうえで食事のカロリーコントロールや有酸素運動をして蓄積した脂肪を燃焼させることは大切です。
しかし、食事管理や運動以外にも大切なのが「睡眠の質」です。
良質な睡眠をとることは、痩せ体質にもつながると言われていますが、なぜ睡眠が大切なのか、今回は現役のパーソナルトレーナーがダイエットと睡眠の関係性について説明します。
目次
ダイエットと睡眠の関係性
睡眠中、体の中では「成長ホルモン」や「レプチン」という物質が分泌されています。
成長ホルモンは脂肪の分解・筋肉の発達を促す作用があります。子供の健やかな発達を促すために欠かせない成長ホルモンですが、大人になってもこの成長ホルモンは大切な働きをしています。
一方レプチンは食欲を抑える働きがあります。睡眠が不足してしまうと、このレプチンの分泌が増えてしまうので、食欲が増してしまい太りやすい体質になってしまうのです。
また、学術誌『JAMA Internal Medicine』に掲載されたとある臨床研究では、1日の睡眠時間が6.5時間未満の成人80人を対象としてランダム化臨床試験を行いました。
その内容は、2週間にわたり睡眠時間を増やしたグループと普段通りの睡眠をとるグループをランダムに分けてエネルギー摂取量の違いを見るというもの。
結果として、睡眠時間を増やしたグループは、そうでないグループと比較して1日あたりのエネルギー摂取量を約270kcalも減少したといった示唆が得られました。なお、睡眠時間を増やしたグループは平均して1.2時間の睡眠時間を増やしたそう。
「日々の睡眠時間を増やすだけで摂取カロリーを楽に減らせてしまう」
ダイエットと睡眠には強い関係性があることが分かります。
睡眠がもたらすダイエット効果とは
良質な睡眠をとることは、体にとってたくさんのメリットがあります。
では、良質な睡眠をとると体にはどんな影響があるのか見て見ましょう。
心身の疲労回復
仕事や家事が忙しいと、つい睡眠時間を削ってまで働いてしまいがちですが、睡眠が不足すると体だけではなく、精神的な疲労も蓄積してしまいます。
睡眠には浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠に分かれますが、このノンレム睡眠をしっかりとることで成長ホルモンの分泌を促し、傷ついた細胞の修復や体力の回復を促し、自律神経を整えます。
肌のターンオーバーを正常化させる
美しい肌を保つためには、肌のターンオーバーを正常に保つことが大切です。
睡眠が不足してしまうと、このターンオーバーが乱れてしまうので、古い角質が蓄積し、肌荒れやくすみなど肌の不調へと繋がります。
お肌は約6週間かけて生まれ変わっています。このターンオーバーを正常に保つには、もちろん肌をしっかりお手入れすることも大切なのですが、質のいい睡眠を取ることでターンオーバーを正常に保つことも大切です。
ストレスの解消
私達は日中受けたストレスを睡眠によって心身の修復を行っています。
しかし、睡眠時間が短かったり質のいい睡眠がとれないと、成長ホルモンの分泌も悪くなり、この心身の修復が上手くいかなくなります。
そうすると、ストレスが解消されないので、どんどんストレスが蓄積し、自律神経が乱れ眩暈やだるさ等といった体調不良につながってしまいます。
忙しいとついやってしまいがちなのは「休日に寝だめをする」という行為です。
休日の間に平日取れなかった睡眠を一気にとろうという人がいますが、余り効果はありません。
大切なのは毎日しっかりと睡眠時間を確保する事なので、ストレス解消の為にも、まずは十分な睡眠時間を確保しましょう。
ダイエット中、睡眠の質を上げる方法
ダイエットを成功させ、毎日を健康的に過ごすためにも良質な睡眠は大切です。
しかし睡眠の質を上げるためには、毎日の生活習慣を改善させなければいけません。
寝る前についついスマホやテレビを見がちな人、アルコールを飲んでいる人は特に注意をしなければいけません。
寝る前に前にスマホやテレビ画面を見ない
スマホやテレビ、タブレットの画面からはブルーライトというものが出ています。
ブルーライトとは、可視光線の1つなのですが、目の痛みや疲労、黄斑変性症を促すだけではなく睡眠障害やイライラ・肌の老化や色素沈着などを促すと言われています。
なぜブルーライトを浴びると眠れなくなるのか、それはブルーライトを浴びる事により、自然な眠りを促す「メラトニン」という分泌が妨げられてしまうのです。
この入眠する時間が遅くなればなるほど、睡眠時間がどんどん削られてしまうので朝もすっきり目覚められなくなってしまいます。
睡眠時間が短くなると体調不良や日中の仕事や勉強の集中力の低下に繋がるので、良質な睡眠を取るためにも就寝1時間前にはテレビやスマホなどの画面を見ないようにしましょう。
カフェインやアルコールを摂取しない
寝る前にお茶やコーヒーを飲む人がいますが、これらにはカフェインが含まれています。
カフェインには「覚醒作用」があり、運転中や夜中に勉強をしていて眠気を抑えるには効果はあると言われています。
しかし、寝る前にカフェインを摂取すると眠りにくくなったり体質的に深い眠りに入る事が出来ない人もいます。覚醒作用は約3時間持続する為、寝る3時間前にはあまり摂取しないようにしましょう。
また寝る前に寝酒といって、お酒を飲んでから眠る人もいます。
お酒を飲むことで入眠しやすくなる人もいますが、逆に深い睡眠を得ることが出来ず、途中で覚醒してしまう場合もある為、おすすめできません。
また、ダイエット中「寝る前の飲み物」をこだわることで痩せ体質に近づいたり、睡眠の質を高められるメリットがあります。
以下の記事で詳しく解説しているので気になる方は是非、ご覧ください。
体を温める
女性の中で特に悩んでいる人が多いのがこの冷え性ですが、慢性的に体が冷えている状態ですと寝る前の体温調節が上手くいかず、寝つきが悪くなってしまう可能性があります。
質のいい睡眠を取るためにも、寝る前に体を温めることは大切です。
体を温める方法としては次の方法があります。
- ストレッチやマッサージを行い手や足の末端を温める
- 38~40度の少し温めのお風呂にゆっくりと入る
- 体を温める飲み物を飲む(白湯や生姜湯、ほうじ茶など)
ウォーキングなどの軽い運動もおすすめですが、人によっては覚醒して眠りにくくなる人もいます。
そういう方は日中に軽い運動をすると、夜に心地いい眠気がきて眠りやすくなるかもしれません。
ダイエット中、最も瘦せやすい睡眠は何時間?
成長ホルモンの分泌が最大となる時間はおよそ22時から深夜の2時ですが、その中でも特に成長ホルモンの分泌が最大になるのは就寝後3時間です。
つまり23時までに眠れば、2時には成長ホルモンが最大になるので、美肌やダイエットには大切な時間になります。
もともと日本人は先進国(経済協力開発機構加盟国の中でも平均睡眠時間が2番目に短い国)の中でも睡眠時間が短い人が多く、十分な睡眠時間を確保できる人は少ないです。
しかし寝不足は食欲を高めるグレリンも分泌されてしまうので、夜な夜なお腹が空き、その空腹を満たすために夜食を食べてしまう可能性も高くなります。
出来れば6~8時間はしっかりと睡眠時間を確保して欲しいのですが、8時間も睡眠時間を確保することが難しいという人は、まずは7時間睡眠を確保するように心がけてみてください。
しかし「ダイエット中寝る前にお腹が空いて眠れない…」なんて方は以下の記事をご活用ください。ダイエット中寝る前でも食べられる食材などもご紹介しています。
寝るとどのくらい体重が減るの?
睡眠がダイエット重要という点はご理解いただけたかと思います。
では、実際睡眠時でどの程度体重が減るかは気になるポイントではないでしょうか。
一晩の睡眠で減る体重はだいたい500g~1000g程度減ります。
しかし、その重量のほとんどは水分です。
これは正常な水分代謝が行われている証拠になり、もし平均より下回る場合は「代謝が悪い」「睡眠が足りていない」などの可能性があります。
したがって、ダイエット中は、毎朝の体重測定+寝る前の体重測定も行うことをオススメします。
ダイエットを失敗させないために最低7時間睡眠をとりましょう!
一見すると睡眠とダイエットは関連性が薄いようにも思えるかもしれませんが、睡眠をしっかりとることは成長ホルモンの分泌を促し、食欲をコントロールするホルモンの分泌を抑えることが出来ます。
日中のちょっとした事が睡眠の質を左右してしまうため、寝る前はなるべく激しい運動をしないこと・カフェインを含んだ飲み物を摂取しない事・スマホやタブレットを見ない事。これらを注意すれば、自然と眠気が来て良質な睡眠を取ることが出来ます。
最近痩せにくくなってきたという人は、睡眠時間をしっかり確保できていますでしょうか?
太りやすくなったと感じる人は、まずは自分の睡眠時間が何時間かを確認し、もし7時間よりも少ない人は、出来れば23時までには布団の中に入り、眠るように心がけてみてください。
当ジムでは、無理のないダイエットを専属のトレーナーがマンツーマンでサポート致します。リバウンドをせずに、健康的にダイエットしたい方は、是非無料カウンセリングにお問い合わせください。
この記事を書いた人
Zoe パーソナルトレーナー 知花 和輝 某大手パーソナルジムにてトレーナー、マネージャーを経験。カウンセリングやセッション500人以上のお客様のダイエット・ボディメイクを並走。趣味は筋トレと読書。体に関する悩みを解決するための情報を中心に発信します。 |
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・【1日5分】ストレッチポールで下半身ダイエット!運動方法もご紹介
参照元
・国立研究開発法人 国立がん研究センター|睡眠時間と死亡リスクとの関連について
・Effect of Sleep Extension on Objectively Assessed Energy Intake Among Adults With Overweight in Real-life Settings
・ブルーライトの目への影響 結局のところどうなのか?